私の宇宙からこんにちは、natanです。
これまで、大人の愛着スタイルについてお話してきました。
今日は、愛着障害に共通する傾向について解説します。
▼ 参考文献 ▼
今日は「回避型」「不安型」「恐れ・回避型」の三つのスタイルにおいて、共通する傾向についてお話したいと思います。
愛着障害の共通点
愛着障害には、回避型と不安型のような、正反対ともいえる傾向を持ったタイプが含まれますが、その根底には大きな共通点があります。
その共通点を知り、理解することで、愛着障害の本質が自然に見えてくると思います。
また、自分や周囲の人にひそんでいる愛着障害を見定めやすくなります。
上記の中から、補足として数点ピックアップして解説したいと思います。
ほどよい距離がとれない
愛着障害における対人関係の特性は、相手との距離が近すぎるか、遠すぎるか、どちらかに偏ってしまい、ほどよい距離がとれないということにあります。
回避型愛着の人は、親密な距離まで相手に近づくことを避けようとするため、対人関係が深まりにくい特徴があります。
一方、不安型愛着の人は、距離をとるべき関係においても、すぐにプライベートな距離にまで縮まってしまい、親しくなること=恋愛関係や肉体関係ということになってしまいやすいです。
回避型と不安型の両方の要素が混じり合っている場合には、最初のうちはひどくよそよそしかったり、打ち解けなかったりしますが、個人的なことを少し話しただけで急速に接近し、恋愛感情に走ってしまうということが起きやすい特徴があります。
非機能的な怒りにとらわれやすい
安定型の愛着スタイルの人が怒りを表す場合、相手を全否定するのではなく、問題解決のために焦点を絞ったものとして発せられます。
敵意や憎しみといった個人に向けられた攻撃ではなく、問題そのものに向けられた怒りです。
しかし、不安型の愛着スタイルの人の怒りは、相手を精神的、肉体的に痛めつけることに向けられがちです。
それは、相手との関係自体に破壊的に作用してしまいます。
破壊的な効果しかない怒りを「非機能的怒り」とよびますが、不安型の人はこのタイプの怒りにとらわれやすいのが特徴です。
発達障害と診断されることも少なくない
本来の発達障害は、遺伝的な要因や胎児期・出産時のトラブルで発達に問題を生じたものですが、愛着障害にともなって生じた発達の問題も同じように発達障害として診断されています。
両者を区別するのは、症状からだけでは難しい場合も多いです。
しかも、ごく幼いころに生じる愛着障害は、遺伝的要因と同等以上に、その子のその後の発達に影響を及ぼします。
愛着パターンは、「第二の遺伝子」とよべるほどの支配力をもつのです。
発達障害という診断が普及したのはよいことですが、本来の定義を超えて広がりすぎ、過剰適用される問題も起きています。
愛着障害によって生じた二次的な発達の問題のケースも少なくないことを考えると、より慎重な扱いが必要になります。
というのも、愛着障害のケースと発達障害のケースでは、対処やアプローチの仕方が異なる面があるからです。
愛着障害のケースに発達障害の方法をそのまま当てはめようとしても、なかなかうまくいきません。
ところが、どれも発達という視点だけで対処しようとする傾向がみられるのが現状です。
性的な問題を抱えやすい
愛着障害の人は、性的な問題を抱えやすいです。
愛着は対人関係の基本であると同時に、性愛も愛着を土台に発達します。
愛着障害は対人関係に影響を及ぼすのと同じように、性愛にもさまざまな形でしわ寄せがきます。
性的な問題が伴いやすい理由は他にもあります。
愛着障害が生じる環境では、母親は妊娠中からあまり恵まれた状況にいないことが多く、高いストレスによって妊娠中のホルモン環境が胎児の成長に悪影響を及ぼす危険が増大するのです。
たとえば、男児の妊娠中に、母親が強いストレスを浴びたり、ある種の薬物を服用していると、胎児の精巣から分泌される男性ホルモンの量が少なくなります。
これは、性同一性障害や同性愛傾向を生む要因となります。
また、愛着障害の子どもでは、混乱した性的刺激を幼いころから受けてしまうというケースも少なくありません。
母性的な愛情への憧れと性愛の混乱がみられたり、男女の役割の倒錯がみられたりしやすいです。
次回は、愛着障害を持った偉人たちについて触れてみたいと思います。
▼ 参考文献 ▼