本日の講義内容
はじめに
皆さんこんにちは、natanです。この講座では古事記の読解力を上げるため、日本の古代信仰について解説しています。今回から陰陽五行について、シリーズでお話していきたいと思います。
今回も民俗学者、吉野裕子先生の知恵を拝借しながらお話していきます。先生の詳しい紹介は、講座第6回をご視聴ください。

今日は陰陽五行思想解説の初回として、陰陽五行と日本の関係について知っていただきたい大切なことをお話をしたいと思います。
陰陽五行と日本の関係
神道の土台を担う陰陽五行思想は、大陸から日本に輸入されました。その時期は文字移入の原初まで遡るそうですが、はっきりしたことはわからないというのが実情です。

吉野先生いわく、日本に入ってきた陰陽五行の歩みは、七世紀初頭まではやや緩慢だったけれど、8世紀640年頃から大陸に留学していた学僧たちが帰国して急速に浸透。天智天皇の時代の663年、百済が滅亡したとき、多数の百済亡命者を日本が迎え入れたことで様相は一変。天武天皇の時代に陰陽五行の盛行は頂点に達したと話します。
陰陽五行およびその実践としての陰陽道は日本に渡来して以降、国家組織の中に組み込まれ、一貫して朝廷を中心に祭政・占術・諸年中行事・医学・農業などの基礎原理となり、ときに権力者によって軍事に至るまで広範囲に実践応用されました。
陰陽道と聞くと、平安時代に活躍した陰陽師、安倍晴明を思い浮かべる方が多いと思いますが、陰陽五行は平安時代に最盛期を迎え、その後衰退していったと私たちは考えています。でも、それは全然違うんです。陰陽五行は衰退するどころか、江戸時代の終わりまでずっと影響力を持ち続けたんです。
徳川家康は陰陽五行を最も活用した人物として有名ですし、またこの思想は一般庶民にも広く普及し、全国各地で陰陽五行から考案された祭りや風習が数多く誕生しました。そんな中、時代が明治に変わると、政府が「陰陽五行は迷信だ」といって陰陽道が廃止されたことで、その思想は衰退してしまいました。つまり、陰陽五行は1200年以上もの間、我が国の重要な基礎原理として生き続けてきたことになります。
なぜ陰陽五行は信じられ続けたのか?
でも、なぜ江戸時代まで陰陽五行は人々に信じられ続けてきたのでしょうか?日本人は、現実を直視せず、呪術の力だけを信じる人々だったのでしょうか?実は、彼らが陰陽五行を信じていた理由はとてもシンプルで、それは陰陽五行が古代から綿々と受け継がれてきた自然科学であり、一般常識だったからです。
現代科学の知識は明治期に西洋から大量に入ってきましたが、それまでの日本の自然科学は陰陽五行だったんです。現代科学と比較すると、陰陽五行は古代自然科学になります。科学を信じる態度は現代人と同じです。ただ、陰陽五行は現代科学と違う法則性を持ったものなので、それが理由で「そんなものは嘘っぱち」という誤ったレッテルが貼られてしまったんです。

陰陽五行を否定した明治政府
明治以降、急速にこの思想は消えていってしまったので、そこから生まれた神道や祭り、年中行事、風習などがなぜ生まれたのか、どのような意味を持っているのか、といった具体的な内容を現代人は理解することができなくなってしまいました。
吉野先生によると、民俗学において柳田國男をはじめとした民俗学者たちは、陰陽五行を迷信とばかりにまったく考慮に入れず研究をしてきたと話します。これには私も驚きましたし、でも「やっぱりそうか」と妙に納得してしまう部分もありました。
というのも、私も古事記研究をする中で、「日本のアカデミズムは灯台下暗しだな」と思っていたからです。古事記は、原文の漢字一文字一文字を通して読み手に何かを伝えようと努力しています。似たような場面なのに、あえて使う漢字を変えて、「この漢字を見て!これがこの場面を読み解くヒントだよ!」と教えてくれたりもしています。だから、その思いを素直に汲み取って読んでいけば、古事記は本当の世界を惜しげもなく見せてくれるんですね。
ですが、古事記研究者たちは漢字の変化を「書き損じ」と言って考慮に入れなかったり、また自虐史観があるせいなのか、中国思想を真似たと言って中国視点で古事記を見たりもしています。そんな固定観念まみれの頭で古事記を研究しているので、一向に古事記の真の姿はわからずじまいです。だから私は「民俗学者もそうだったんだ」と思って納得してしまったんです。
最後に
吉野先生は、陰陽五行は日本人を知るためには欠くことのできない思想だと言います。陰陽五行をもって明治以前の日本を眺めれば、神道をはじめ、各地に伝わるお祭り、年中行事、風習などがどういった意味を持つものなのか、その詳細がわかってきます。
私を含め、現代日本人は、日本人でありながら中身は西洋化しています。西洋化した頭で昔の日本を見ても、何も理解することはできません。私たちが本来の日本人に戻るためには、陰陽五行を知る必要があります。
ですから、次回から陰陽五行および十干十二支、易経などについて解説し、それらが古事記、神道、祭りや風習などにどう影響しているかをお話していきます。今回は短い内容ではありますが、大切なことなのでお話させていただきました。

それでは今日はここまでです。
ご視聴いただきまして、ありがとうございました。
また次回もぜひ聴いてくださいね。
それではまたお会いしましょう!バイバイ!

