私の宇宙からこんにちは、natanです。
今日は、愛着形成で一番重要な「抱っこ」についてのお話です。
▼ 参考文献 ▼
抱っこからすべてははじまる
人は生まれるとすぐに母親に抱きつき、つかまろうとします。
逆にいえば、育っていくためには、つかまり、体に触れ、安らうことができる存在が必要です。
そうしたことの重要性が知られていなかったころ、孤児となった子どもはスキンシップの不足から食欲が低下し、衰弱死してしまうことが多かったそうです。
子どもが成長するうえで、母親が子どもを抱っこすることは、お乳を与えることと同じくらい重要なのです。
いくら栄養を与えても、抱っこが不足すれば、子どもはうまく育ちません。
抱っこをして、体を接触させることは、子どもの安心の原点であり、愛着もそこから育っていきます。
抱っこすることで、子どもから母親に対する愛着が生まれるだけでなく、母親から子どもに対する愛着も強化されていきます。
何らかの理由で、あまり抱っこをしなかった母親は、子どもに対する愛着が不安定になりやすく、子どもを見捨ててしまう危険性が高くなることが知られています。
子どもが泣くとすぐに抱っこする母親の場合、子どもとの愛着が安定しやすいですが、放っておいても平気な母親では、不安定な愛着になりやすいのです。
抱っこという原始的な行為が、子どもが健全な成長を遂げるうえで非常に重要
なのです。
それは、子どもに心理的な影響だけでなく、生理的な影響さえ及ぼします。
子どもの成長を促す成長ホルモンや神経成長因子、免疫力を高める物質、さらには心の安定に寄与する神経ホルモンや神経伝達物質の分泌を活発にします。
抱っこはスキンシップという面と、「支え、守る」という面が合わさった行動です。
よく抱っこされた子は甘えん坊で一見弱々しく見えて、じつのところ強くたくましく育ちます。
その影響は、大人になってからも持続するほどなのです。
愛着の形成と臨界期
新生児のときからすでに愛着の形成ははじまっていますが、まだそれは原初的な段階です。
生後六ヶ月くらいまでであれば、母親を少しずつ見分けられるようになっているものの、母親が他の人に変わっても、あまり大きな混乱は起きません。
新しい母親に速やかになじんでいきます。
ただし、この段階でも母親が交替すると、対人関係や社会性の発達に影響が及ぶこともわかっています。
結ばれはじめた愛着が、ダメージを受けると考えられます。
六ヶ月を過ぎるころから、子どもは母親をはっきりと見分けはじめます。
ちょうど、人見知りがはじまるころですね。
それは、愛着が本格的に形成されはじめたことを意味しています。
生後六ヶ月から一歳半くらいまでが、愛着形成にとって、もっとも重要な時期とされています。
この時期が愛着形成の臨界期になります。
この臨界期の時期を過ぎると、愛着形成はスムーズにはいかなくなります。
実際、二歳を過ぎて養子になった子が、養母になかなか懐こうとしないということはよくあります。
また、臨界期に母親から離されたり、養育者が交替したりすると、愛着が傷を受けやすくなります。
愛着形成に必要なこと
愛着がスムーズに形成されるために大事なことは、十分なスキンシップとともに、母親が子どもの欲求を感じとる感受性を持ち、それに速やかに応じる応答性を備えていることです。
子どもは、いつもそばで見守ってくれ、必要な助けを与えてくれる存在に対して、特別な結びつきをもつようになるからです。
求めたら応えてくれるという関係が、愛着を育むうえでの基本
です。
この時期、母親はできるだけ子どもの近くにいて、子どもが求めたときにすぐに応じられる状態にあることが望ましいです。
愛着の絆と愛着行動
いったん愛着の絆がしっかりと形成されると、それは容易に消されることはありません。
愛着におけるもう一つの重要な特性は、
半永久的な持続性
です。
しっかりと結ばれた愛着の絆は、どんなに遠く離れていようと、どんなに時間を隔てていようと、変わらずに維持されます。
愛着の絆にみられる、切ないまでの純粋さは、とても感動的です。
次回は、どのように脱愛着が起こるのかについてお話したいと思います。
▼ 参考文献 ▼