私の宇宙からこんにちは、natanです。
今日は、愛着障害の克服方法④をご紹介したいと思います。
▼ 参考文献 ▼
社会的、職業的役割の重要性
愛着障害を抱えた人がそれを克服するために、安定した愛着スタイルばかりを課題として追い求めることは、必ずしも得策ではありません。
それよりも、自分がやるべき役割を担い、それを果たそうとして奮闘するうちに、まず周囲の人との関係が安定します。
そうなることで、もっとも親密な人との愛着関係においても、次第に安定していくことも多いのです。
親密さをベースとする愛着関係というものは、距離がとりにくく、愛着障害を抱えた人にとっては、もっとも厄介で難易度の高いものです。
その点、社会的な役割とか職業的な役割を中心とした関係は、親密さの問題を棚上げして結ぶこともできます。
また、仕事上の関わりと割り切ることもできます。
そうした気楽さが、親密さへの心理的なプレッシャーを軽減し、気のおけない関係を生みだすことにも繋がります。
このように、社会的役割、職業的役割という枠組みが、愛着不安や愛着回避のジレンマからある程度守ってくれます。
そうして、社会的、職業的役割を果たす中で、対人関係の経験を積み、ほどよく親しい関係を増やしていくことは、愛着不安や愛着回避の克服にまたとない訓練の機会になるのです。
その意味では、どれも愛着障害を乗り越えていくきっかけとなり得るのです。
どんなに愛着回避が強く、人付き合いが苦手な人も、必要に駆られて関わりを持つようになれば、対人スキルが向上するとともに、人と一緒に何かをする楽しさも体験するようになります。
愛着不安が強いひとの場合、役割を持つことがしばしば心の安定に繋がります。
愛着行動にばかり神経を傾けることから救ってくれるからです。
否定的認知を脱する
愛着障害がある人の人生を困難なものにする重要な要因の一つに、
否定的認知にとらわれやすい
ことが挙げられます。
愛着障害の人は、親から肯定的な評価を受けられなかったことが多く、それが他の人との関係にも尾を引き、自分に対して、あるいは周囲の人に対して否定的な評価を抱きがちです。
そしてそのことが、対人関係がうまくいかないことや、自分を活かせないことに繋がります。
その意味で、愛着障害を克服する場合、否定的な認知を脱するということが、非常に重要になります。
大事なのことは、
です。
自分にできること、自分の得意なこと、人が嫌がってやりたがらないことなど、何でもいいから思い切ってやってみることです。
ただ、自分のためにやるというよりも、家族や周囲の人のためにもなれば一層良いでしょう。
それを続けていくことが、自己有用感を回復するきっかけになります。
視野を広げて、まずは気軽に取り組めることから始めましょう。
その過程で自己否定感を払拭し、「自分にもできることがある」という肯定的な気持ちを回復することが先決です。
また、否定的認知を脱するには、「全か無か」といった二分法的な認知ではなく、統合的な認知が持てるようになることが必要です。
つまり、何か嫌なこと、思い通りにならないことがあった場合、それを徹底的に否定し、ネガティブな感情に過剰にとらわれてしまうのではなく、事態を冷静に受け止め、「そうなって良かったこともある」という、試練や苦痛からも前向きな意味を見出そうとする姿勢が必要です。
自分が自分の「親」になる
親の保護や導きも期待できず、親代わりの存在も身近にいないという場合、愛着障害を克服するための究極の方法は、
自分が自分の親になる
ということです。
親に期待するから裏切られてしまう。
親に認めてもらいたいと思うから、親に否定されることを辛く感じてしまう。
人それぞれ自己否定の理由はいろいろあると思いますが、人に期待するからこそ裏切られることが怖いのであれば、絶対に自分を裏切らない存在を持つことが重要です。
絶対に自分を裏切らない存在、それが「自分自身」なのです。
私も一貫してこのスタイルを貫いてきたタイプなので、個人的には一番効果あり!と思っています。
自分のインナーチャイルドを癒す行為が、これに該当すると思います。
「自分が自分の親になる」という考えは、愛着の苦しみを知らない人には、突飛なものに思えるかもしれませんね。
しかし、親に認められないことで苦しんできた人、安全基地を持たない人には心に訴えるものがあると思います。
人を育てる
著者の岡田先生いわく、愛着障害を克服していく過程でときどき観察される現象の一つに、自分が親代わりとなって、後輩や若い人たちを育てる役割を担うということがあるそうです。
愛着障害の人は、いわば親にうまく育ててもらえなかった人です。
そのため、愛着障害を克服するには、誰かに親代わりになってもらい、育て直してもらうということになりますが、じつはもう一つ方法があります。
自分自身が「理想の親」になって、後輩や若い人たちを育てるという方法です。
アイデンティティの獲得と自立
愛着障害を克服するということは、
一人の人間として自立する
ということです。
ここでいう自立とは、独立独歩で人に頼らないという意味ではありません。
必要なときには人に頼ることができ、だからといって相手に従属するのではなく、対等な人間関係を持つことができるということです。
自立のためには、周囲から自分の存在価値を認めてもらうということが必要になり、それを得ることによって自己有用感と自信を持ち、人との繋がりの中で自分の力を発揮することができます。
それが自分の関心や嗜好と近いものがあれば、一層幸福でしょう。
つまり自立した過程とは、自分が周囲に認められ受け入れられる過程であり、同時にそうした自分に対して「これでいいんだ」と納得する過程でもあります。
自立が成功するには、この両方のプロセスがうまく絡み合いながら進んでいく必要があります。
どちらか一方だけでは成り立たないのです。
愛着障害の人がその過程でつまづきやすい理由は容易に理解できるでしょう。
つまり、原点において、他者に受け入れられることがうまくいかなかったのであり、同時に自分を受けいれるということもにつまづいたのです。
自分にとって重要な他者に受け入れられるプロセスをもう一度やり直すとともに、自分を受け入れられるようになることで、初めて愛着障害の傷から回復し、自分らしいアイデンティティを手に入れ、本当の意味での自立を達成することができるのです。
まとめ
以上、長くなりましたが、愛着障害に関してシリーズでお話してきました。
愛着障害は、夫婦関係の維持や子育てに影響しやすいという特性を持ちます。
その結果、子どもにしわ寄せがきて、子ども自身の愛着の問題へと繋がっていく可能性があります。
そんな負の連鎖を断つためにも、自分のところで愛着障害を克服することが重要になります。
愛着障害を克服した人は、特有のオーラや輝きを放っています。
その輝きは、悲しみを愛する喜びに変えてきたゆえの輝きであり、強さにも思えます。
そこに至るまでは容易な道のりではありませんが、試みる価値は十分ある道のりだと思います。
次回は、愛着障害のお話を私なりの視点で総括したいと思います。
次回もお楽しみに♪
▼ 参考文献 ▼