本日の講座内容
はじめに
皆さんこんにちは、natanです。この講座では、古事記の読解力を上げるために、日本の古代信仰について解説しています。今回は十干についてお話していきたいと思います。
今回も民俗学者、吉野裕子先生の知恵を拝借しながらお話していきます。先生の詳しい紹介は、講座第6回をご視聴ください。

十干について
十干の発生と読み方
前回は、混沌の宇宙から陰陽が分かれ、それらがさらに五原素「木火土金水」を生んだというお話をしました。
この五原素「木火土金水」もさらに陰陽に分かれ、計十個に分化します。それが今日のテーマである十干と呼ばれるもので、別名「兄弟」とも言います。「兄」が陽、「弟」が陰です。

「木」の陽は「甲」と書いて「きのえ(木の兄)」と読み、その陰は「乙」と書いて「きのと(木の弟)」と読みます。契約書などでよく目にする「甲乙」は、本来は木火土金水の「木」を陰と陽に分けたときの名前です。
続いて「火」の陽は「丙」と書いて「ひのえ(火の兄)」、その陰は「丁」と書いて「ひのと(火の弟)」。
「土」の陽は「戊」と書いて「つちのえ(土の兄)」、その陰は「己」と書いて「つちのと(土の弟)」。
「金」の陽は「庚」と書いて「かのえ(金の兄)」、その陰は「辛」と書いて「かのと(金の弟)」。
「水」の陽は「壬」と書いて「みずのえ(水の兄)」、その陰は「癸」と書いて「みずのと(水の弟)」と読みます。
名前だけ聞くと難しく感じるかもしれませんが、木火土金水が兄と弟に分かれ、それぞれが各原素のお尻についただけと覚えればOKです。
十干の意味①植物の成長段階
次に、十干にはそれぞれ意味があり、それは植物の成長を十段階に分けたものだと言われています。
まず、木の「甲」は、その漢字は「よろい」から来ていて、草木の種子を覆う厚い皮のことを指します。発芽に向けて厚い皮を被っている状態です。
続いて、「乙」は「軋る」という漢字の右側を取ったもので、草木の幼い芽がまだ自由に伸長しない屈曲した状態を意味します。ですから、全体的に「木」は発芽するためのエネルギーを保持した状態だと言えます。

次に火の「丙」は「炳」という漢字の右側を取ったもので、草木が伸長して、その形体が顕著になった状態を意味します。続いて「丁」は、「壮」と同じ意味を持ち、草木の形体が充実した状態を意味します。
続いて土の「戊」は「茂る」から来ていて、草木が繁茂して盛大になった状態を意味し、続いて「己」は「紀(すじ)」から来ていて、草木が繁茂して盛大となり、かつその条理が整った状態を意味します。
次に金の「庚」は「更(あらたまる)」から来ていて、草木が成熟・団結していった結果、自ら新しいものに改まっていこうとする状態。続いて「辛」は「新」から来ていて、草木が枯死して、また新しくなろうとする状態を指します。
最後に水の「壬」は、「妊(はらむ)」から来ていて、草木の種子の内部にさらに新しいものが孕まれる状態。続いて「癸」は「揆(はかる)」から来ていて、種子の内部に孕まれたものが段々に形造られた状態を指し、これが帽子を被ってムクムクと動き出す最初の「甲」に繋がります。

十干の意味②兄弟の大小・強弱
その他、十干には別の解釈もあり、兄(陽)の力を「大」や「強」、弟(陰)の力を「小」や「弱」と見たとき、各原素には二つの異なった側面があることが見えてきます。
たとえば、木の甲が大きくて強いなら、それは大樹を指し、乙が小さくて弱いなら低木、花、草を指すという感じです。
次に火の場合、丙が大きくて強いなら、それは太陽の光熱や炎を指し、丁が小さくて弱いなら、それは提灯やロウソクの火を指します。
続いて土の場合、戊が大きくて強いなら、それは山や丘陵の土を指し、己が小さくて弱いなら、それは田畑の土を指します。
金の場合、庚が大きくて強いなら、それは硬い金属(たとえば刀や太刀)を指し、辛が小さくて弱いなら、柔らかい金属(鏡)などを指します。
最後の水では、壬が大きくて強いなら、それは海洋、大河、洪水を指し、陰の癸が小さくて弱いなら、それは水滴、雨露、弱い水の流れ、波紋などを指します。
植物の成長段階よりも、兄弟を強弱・大小で見たほうが理解しやすいかもしれませんね。

最後に
以上のように、木火土金水は陰陽に分化し十干となるわけですが、十干は別名「天干」とも呼ばれます。十干が「天」つまり陽の属性であれば、それと対になる陰の要素があるということになります。それが何かというと、十二支です。陰陽はペアで覚えなくてはいけないので、十干も十二支と合わせて覚えることが大切です。
というわけで、今日の解説はここまでにして、次回十二支についてお話したいと思います。

それでは今日はここまでです。
ご視聴いただきまして、ありがとうございました。
また次回もぜひ聴いてくださいね。
それではまたお会いしましょう!バイバイ!


