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【ろじろじラジオ】第38回放送★英雄が手に入れる宝物の真の意味とは?ヌーソロジー的な視点で考察してみた

英雄の宝物アイキャッチ ユング心理学
natan
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私の宇宙からこんにちは、natanです。

このページでは、私が運営しているYoutube「ろじろじラジオチャンネル」第38回放送時のトーク内容全文をご紹介します。

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本日のトーク内容

以下の内容は、放送内容を加筆修正しています。

英雄が手にする宝物について

宝物ゲットはお決まりの展開

宝

前回は、天地創造神話から英雄神話までのお話をしました。今回は、英雄が竜退治の末にゲットする宝物とは一体何なのか、それは何の役にたつものなのかについて、ヌーソロジー的な視点を交えながら、私なりの考えをお話したいと思います。

まず復習になりますが、深層心理の観点からは、英雄神話に描かれる英雄とは自我意識を意味します。そして、英雄が退治する竜とは、自我意識の自立を阻む存在を意味します。つまり、英雄の竜退治というストーリーは、親からの自立、もしくは自我意識がより高い意識水準へ向かうために無意識の惰性に打ち勝とうとすることを物語風に表現したものです。

日本神話では、英雄であるスサノオはヤマタノオロチを退治することで、草薙の剣を手に入れます。このように、世界各地に存在する英雄神話では、英雄が竜退治に成功すると、かならず宝物や魔法の力をゲットしたり、または竜に囚われていたお姫様を救うことで二人は結婚したり、というお決まりの展開があります。

なぜそのような展開があるのかについて、ヌーソロジー的な視点で二つだけお話してみたいと思います。

宝物①魔法の力

錬金術

一つ目は宝物、とくに魔法の力をゲットすることについて、ヌーソロジー的な視点からは、人間には対立関係に見えるものを等化する力、つまり統合や次元上昇を起こす力を得られるのかもしれないと考えてみました。ヌースの力です。

ヌーソロジーでいう等化という現象は、「対立しているもの同士の差異を認める(違いを認める)」ということが大前提であり、等化は次元上昇を意味するように、お互いの差異を拮抗させて、新しい一なるものを創造するという現象です。一なるものと言っても、それは複合体です。さらに「全体性」とは非の打ち所がないという意味ではなく、必要なものがすべて揃っているという意味です。

私は差異を拮抗させることを「霊的な化学反応を起こすこと」と表現しているのですが、まさに霊的な化学反応を起こして新しいものを生み出すことが等化であり、それが真の創造だと考えます。

このように、対立関係にあるものの差異を認めつつ、新しいものを創造するためには、魔法のような力が必要になります。魔法という言葉にも表されるように、それは錬金術のような呪術的な力だと考えます。等化は錬金術の本質だと私は考えています。

紀元前1世紀ころ、エジプトではじまった卑金属を貴金属に変える呪術としての錬金術は、金だけでなく、人間の肉体や魂をも対象としていたようです。ですから、錬金術師はあらゆるものの創造的統合を模索していたのだと思います。ユング心理学では錬金術に分析心理学の萌芽を見ています。

この話を人間一人の人生に置き換えてみると、私たちはあらゆる対立物の中でつねに思考や感情を働かせています。いつも「どちらが正しくてどちらが間違っているか」と思考する癖がついていますが、自我確立が達成されると、あらゆる対立物を俯瞰できるだけでなく、それらの差異を認めて、どうやって次の段階に物事を進めようかと、高次の思考ができるようになります。

その高次の思考によって物事をより良い方向に向かわせられるだけでなく、自分の人生さえも魔法のように変えていける可能性があると考えます。このように、英雄が竜退治をすることで得られる魔法の力は、これから先、英雄が歩む道において、英雄を手助けしてくれる力として働くようになると考えます。

宝物②お姫様との結婚

姫

竜退治における二つ目の戦利品は、お姫様の獲得、そして結婚です。これが意味することは、心の全体性である自己(セフル)に近づくために必要な内なる女性性の獲得です。ユング心理学ではアニマが該当します。

その女性性は「囚われのお姫様」として描写されるように、英雄それ自身がもともと所有しているものではなく、人間の意識発達で言えば、親からの自立、そして無意識の惰性に打ち勝った暁に初めて見いだせるものだと言えます。

内的な葛藤、そして自立の中でようやくゲットできるのが女性性であり、それは自分だけの女性性、自分だけのお姫様です。

そのお姫様と英雄は幸せな結婚をするわけですが、それが意味することは、ヌーソロジー的に言えば、自分の中の男性性と女性性の双子化が達成されるということを指していると考えます。この双子化、そして幸せな結婚が、今度は意識進化にとって重要になります。

また、お姫様それ自身が魔法の力を持っているとも言われているので、お姫様をゲットすることで、先程もお話したように、あらゆる対立物を等化したり、魔法のような創造が可能になるのかもしれません。ちなみに、この女性性の獲得に失敗した英雄の事例が、日本神話に描かれているヤマトタケルだそうです。

英雄が竜に立ち向かい、そして竜退治の暁にお姫様を獲得する様子から見えてくるように、男性性である英雄、女性性であるお姫様は、自然発生的なものではなく、闘いの中でようやく得られるものだということがわかります。人類の意識進化の歴史でいえば、自我意識の獲得はたいへん厳しい闘いの中で達成されたものであり、さらにこれから見出そうとしている自分自身の女性性は、さらに、比喩ではありますが、竜レベルの怪物を退治しなければゲットできないということ。

まとめ

ヤマトタケル

以前、自我意識と無意識の間には心的引力が強く働いているとお話しました。その引力によって、自我の確立が達成されていないと、あっという間に、自我は暗黒の無意識に呑み込まれてしまいます。その様子を神話では「去勢」として表現しています。ヤマトタケルの女装が意味することは、もしかしたら、女性性を獲得できなかった男性性である自我の弱さを象徴しているのかもしれません。

以上のように、男性性の性質を持つ自我意識、そしてその確立はたいへんな困難をともなうものであり、さらにその過程で同時進行的に進む女性性の獲得もたいへん難しい作業だということが神話から読み取れます。

ギリシャ神話の英雄プロメテウスは、ゼウスから火を盗み、それを人間に与えてしまった罪で、絶壁に鎖で繋がれ、ワシに内蔵をついばまれる苦しみを受けました。

プロメテウス

プロメテウスの状況はとても悲惨ですが、私たちも人生の中でズタズタに心を傷つけられ、引き裂かれることが多々あります。心にたくさんの傷を負って、「なぜ私だけがこんな目に合わなければいけないの?」と人生を嘆きたくなることもありますが、その傷は英雄としてまさに今戦っている証拠であり、勲章でもあります。

心に傷を負うこと、そして人生の中でたくさん失敗すること、そしてそこでの挫折の経験は、神話的観点から言えば、英雄へ向かう途中だと言えます。逆にそれらを経験していないと、あっという間に去勢が入ります。

どんなに傷ついてもまた這い上がってくる、再生する存在が英雄です。だから、自分の痛みを悪く捉えず、「自分は英雄として今まさに自分の中に存在する竜と戦っているのだ」という意識で現実を受け止めてみてください。

英雄神話は私たちが人生を歩む上でも意識進化をしていく上でも、参考になる神話、そして心の支えにもなる神話です。あなたの好きな英雄神話を一つ見つけてみると良いと思います。きっとあなたの心の支えになるはずです。

このお話が、みなさんの気づきの一つになったら嬉しいです。

natan
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それでは今日はここまでです。
ご視聴いただきまして、ありがとうございました。
また次回もぜひ聴いてくださいね。
それではまたお会いしましょう!バイバイ!

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