私の宇宙からこんにちは、natanです。
今日は、愛着障害の発見と、現代人に多く見られる不安定型愛着についてお話します。
▼ 参考文献 ▼
愛着障害発見の経緯
最初に愛着障害が見いだされたのは、第二次世界大戦後のヨーロッパで行われた戦災孤児の調査からでした。
戦争で親を失い、施設に入れられた子どもたちが、成長不良や発達の問題を引きおこしたのです。
それを報告した精神科医のジョン・ボウルビィは、当初それを「母性剥奪」と呼びましたが、その後「愛着」という観点で現象を捉えなおし、愛着の崩壊や不安定な愛着の問題として理解しました。
ジョン・ボウルビィ(英: John Bowlby、1907年2月26日 – 1990年9月2日)は、イギリス出身の医学者、精神科医、精神分析家。
専門は精神分析学、児童精神医学。
精神医学に動物行動学(エソロジー)的視点を取り入れ、愛着理論をはじめとする早期母子関係理論を提唱した。
Wikipediaより
ただ、「愛着障害」という用語が用いられるようになったのは、虐待やネグレクト(無視・放棄)の急増により、愛着の問題が再度クローズアップされるようになって以降のことになります。
三分の一が不安定型愛着を示す
これまでは不運な家庭で育った子どもを対象に愛着の問題が研究されていましたが、一般の児童にも対象を広げて研究が進むことで意外な事実が明らかになりました。
実の親のもとで育てられている子どもでも、当初考えられていたよりも高い比率で愛着の問題が認められることがわかったのです。
安定型の愛着を示すのはおよそ三分の二で、残りの三分の一の子どもが不安定型の愛着を示したのです。
愛着障害と呼ぶほど重度ではありませんが、愛着に問題を抱えた子どもがかなりの割合、存在することになります。
さらに、成人でも三分の一くらいの人が不安定型の愛着スタイルを持ち、対人関係において困難を感じやすかったり、不安やうつなどの精神的な問題を抱えやすくなる傾向があるそうです。
こうしたケースは、狭い意味での愛着障害に該当するわけではもちろんありませんが、愛着の問題であることに間違いはなく、それがさまざまな困難を引きおこしているのです。
自分自身が不安定型愛着を抱えているかもしれないし、恋人や配偶者や子ども、同僚がそうであるかもしれない。
カップルのどちらかが不安定型愛着を抱える確率は、なんと五割を超えるそうです。
さらに三人の人がいて、そのうち一人でも不安定型愛着を抱えている可能性は七割にも達するとのこと!
その後、積み重ねられてきた愛着の研究は、今では特別な子どもの問題を超えて、一般の子ども、さらには大人にも広く当てはまる問題であることを明らかにしてきています。
愛着障害は、現代人が抱えているさまざまな問題に関わっているばかりか、一見問題なく暮らしている人においても、その対人関係や生き方の特性をもっとも根底の部分で支配しているのです。
愛着障害は別名「愛着飢餓」
愛着障害は別名…
ともいえます。
これは、後ほど詳しくお話していきますが、「愛情飢餓」とは、愛を欲しても欲しても満たされない状態です。
過食症のように、どんなに食べても戻してしまう状態と似ているかもしれません。
自分で欲して得たものなのに、それが自分の栄養になるどころか、ほとんどが外へ流れでてしまうのです。
ですので、愛着障害は依存症になりやすいといえると思います。
「心の安全基地が持てない」とは、簡単にいうならば、心をオープンにできる相手、場所がないということ。
信頼できる人、自分を心から愛してくれる人がいないと感じるため、つねに心を閉ざしてしまう状態ですね。
まとめ
この状態を脱するためには、根本的な対策が必要になってくるのです。
その根本原因が、「愛着障害」です。
次回より、なぜ安定した愛着形成が重要なのか、愛着障害とはどんな問題を引き起こすのかについて、お話していきたいと思います。
▼ 参考文献 ▼