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【ろじろじラジオ】第52回放送☆感情機能が心を救う!機能としての感情について~ユングのタイプ論~

No52:感情機能アイキャッチ ユング心理学
natan
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私の宇宙からこんにちは、natanです。

このページでは、私が運営しているYoutube「ろじろじラジオチャンネル」第52回放送時のトーク内容全文をご紹介します。

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本日のトーク内容

以下の内容は、放送内容を加筆修正しています。

さあ、始まりました「ろじろじラジオチャンネル」。本日もよろしくお願いします。

ここ最近は、ユングのタイプ論をシリーズでお伝えしています。タイプ論において、気持(F)という言葉は多々出てきたのですが、感情という言葉はほとんど出ていないことに、みなさんはお気づきだったでしょうか?

じつは、感情はとても奥深い機能で、さらにその機能は、今後、私たち人類がしっかりと理解していかなければいけない重要なものでもあります。今日は、そんな感情機能についてお話をしていきたいと思います。

感情機能を育てる

植物

第50回放送のとき、自分にとっての苦手機能と、その他の機能はバランスを取る必要があるということをお話しました。じつは、各機能のバランスを取る際に、同時に行っていく作業があります。それは、感情機能を育てる作業です。

ここで注意事項ですが、感情機能と感情内容は、それぞれ言葉は似ていますが、まったく違うものになります。感情機能は能力であり、感情内容は私たちがよく知っている「嬉しい、悲しい、楽しい、怒っている」といったものになります。今日お話したいものは、前者の機能の方になります。

感情機能は、気持(F)機能よりも上位の機能になります。上位といっても、気持(F)機能は感情機能に含まれるもので、お互いの働きはグラデーションになっています。ですから、先程お話した感情内容もそうなのですが、この領域は明確に分けることが難しいんですよね。

ユング心理学では、それらをひとまとめにして「感情機能」として話す傾向があるのですが、タイプ論における機能はフィーリング要素が強いので、感情とフィーリングは言葉を分ける必要がありました。ですから、今日のお話は、以前お話した気持(F)機能の内容と重なる部分があると思います。ですが、より高次の機能としての感情についてのお話なので、新たな気持ちで今日のお話を聞いていただけると嬉しいです。

感情機能はハートの道理

さて、感情機能についてですが、感情機能は評価を通して価値づけを行う機能になります。この機能は、論理的ではなく合理的に判断する機能であり、人間関係において心の声に応えることができる優れた機能でもあります。

たとえば、子どもが親である自分に何か説明を求めてきたとします。そのとき、その回答は思考から与えられることもあると思います。「それはこういう背景があって、こうなったんだよ」といったように、子どもに物事の因果関係を教えたり論理的に教えたりすることもあるかと思います。

ですが、それとは別に、もう一つの回答の仕方があるんですね。それが、感情機能を通して応えるというものです。子どもがなぜそのような質問をしてきたのか、もしかしたら子どもの中に何かしらの不安があるのではないだろうか。その不安をキャッチして、その不安に対して応えるお話のほうが、知的な説明よりも、子どもに寄り添った形で応えてあげられるということもあると思います。

アドバイス

このように、感情機能は相手の心の声を理解し、自己と他者が心を介して向き合い、それによって真の関係性を築くことができる優れた機能なのです。私は、これこそが真のコミュニケーションだと考えています。

これができるようになるためには、発達した感情機能が必要になります。発達した感情機能は、知性(マインド)の道理がまったく理解できない心(ハート)の道理なんですね。

よく問題行動を起こす子どもの親に、「私は子どもとしっかり向き合ってきました。なのに、なぜこのような問題を起こすのかが理解できません」とおっしゃる方がいるようです。それが起こってしまう原因は、今日の話で言えば、子どもへの接し方が間違っていたということが、一つの原因として挙げられると思います。「親としてこう対応すればいいだろう」という固定観念があって、子どもと接してしまっていたということ。

不良少年

しかし、実際は子どもの心の声をしっかり聞き取って、それに対して応えてあげていなかった。だから子どもは、誰も自分を理解してくれないと思い、問題行動に走ってしまったということ。思考で向き合うのではなく、心で向き合ったとき、子どもは自分を受け入れてもらえたと心から思えるんですよね。そして、親や大人を信頼するようになります。

私たち人間は、言葉や思考でコミュニケーションが取れると思っているところがあります。しかし、本当は心を介さなければ真のコミュニケーションは成立しません。この心を介したコミュニケーションによって、子どもは自立した大人になれるのだと思います。愛に論理と秩序を与えること、それを可能にするのが感情機能です。

感情機能の現状

思い出

感情にとって不可欠なのは、出来事を関連づけることができる感情記憶や一連の価値観です。「気持(F)タイプは過去を好む」と言われていますが、このタイプの人は、良い意味でも悪い意味でも、過去を基盤にして生きています。

感情機能の基盤には、感情体験の蓄積が必要です。でも、今現在の感情は、過去に縛られている状態にあるようです。ユング派のジェイムズ・ヒルマンは、「現代人の感情機能は、平凡な水準または思春期レベルである」と言います。

ジェイムズ・ヒルマン
ジェイムズ・ヒルマン

そう言われる理由は、誰でも攻撃されると恐怖を感じ、そのため人と言い争い、憎しみあい、中傷しあうからです。今現在の感情機能は、自我における平凡な水準のレベルにあり、自分自身を宇宙の傷つきやすい中心として捉えている、まさに生真面目な思春期の若者のようなものだそうです。

よって、人間はこの段階を超えられないでいるのが現状です。だから、感情も機能として働ける段階にまで育つことができないでいます。この攻撃されたらやり返すという、その現象を乗り越えるもしくは克服、前進するということではなく、過去へと後退するというレベルに感情が縛られているからこそ、感情機能はフィーリングと区別がつかないのだと思います。

過去からの縛りを解くためには、過去において、自分がこれまでどのような感情体験をしてきたのか、そして、どのような価値観を与えられて感情機能の基盤が出来上がったのかを知る必要があります。心理分析において、親が与えた影響を探っていくこと、つまり幼児期の分析が必要になるのは、こういった理由があるからです。

感情機能を育てるために必要なこと

感情を過去から解き放つと、感情は、今度は、機能として働くことができるようになります。

感情の発達のために特に重要なのが、羨望、憎しみ、尊大さ、不平といった否定的感情、マイナスの感情です。それらを扱うことは、特別な勇気と正直さ、そして忍耐を必要とします。ここに激しい葛藤が生じます。

否定的な感情が機能としての感情を育てるなんて、とても厳しい条件ですし、ハードルが高いですよね。闇がなければ光は生まれない、ということだと思います。人間がマイナスな感情を克服できずにいる理由、それは、闇を受け止める勇気、正直さ、忍耐力がないから。まだまだ感情機能が幼いからです。

感情機能は思考できる

考える2

感情機能についてたいへん詳しいのが、先程ご紹介したジェイムズ・ヒルマンです。私はヒルマンの本を読んで、自分が一つ誤解していたことがあったということに気づきました。

私は、自分の苦手機能と向き合い、葛藤をしながらも自分に寄り添い、そして、勇気を出して前を向くことで人生を大きく変えてきた経験があります。そのときやっていたことは、心の奥から沸き上がってきた自分の本当の気持ちを感じ取りつつ、自分がそのように感じている背景を思考し、そして自分にとっての最適な方向へ意識と行動を変えていくといったものです。私は、これら一連の内的作業は、思考機能をメインに使っているものとばかり思っていました。

ところがどっこい、それは思考機能ではなく、感情機能を用いての作業だったようです。ヒルマンいわく、「感情機能も感情を思考したり、感情内容について考えることできる」と言います。つまり感情機能は、感じることもできるし考えることもできる優れた機能だということ。

さらに感情機能は、「思考をも感じることができ、その思考の価値と重要性を発見することもできる」と言います。これを知って、とても驚きました。思考優位な人類にとって、これは衝撃的な事実です。

言葉を超えた世界へ

ヌーソロジーでも感情は重視しないところがあります。通常の思考機能は、言葉や概念がないと機能させられないものであり、そして、言葉の数は有限です。しかし、これから私たち人類の意識が進出していかなければいけない世界は、言葉を超えた世界です。ここで感情機能の出番がやってきます!

感情機能は言葉を超えたもの、言葉以前のものを捉えることができます。そして、そこに未知の世界、本当の宇宙が広がっていると私は考えています。私は、その世界はさまざまな感情や情動がうごめく、女なるものの世界だと感じているので、それは感情を無視して見いだせる世界ではないと考えています。

だからユング心理学でも、感情を象徴するものとして、アニマやグレートマザーといった女性原理の元型を重視しているのだと思います。

ヒルマンは「感情を把握できるのは感情機能だけ」だと言います。その感情機能は、思考機能をも有している。これから私たちの意識が進出していく女なるものの世界、そこにこそヌーソロジーが言う「感じて、考えて、感じて、考えて……」という作業が、まずは感情機能を通して必要になるのではないでしょうか?

第48回放送時に、思考機能についてお話しましたが、内向的思考の解説のところで、「内向的思考は新しい洞察や見解を仲介する」とお伝えしました。そう、その新しい洞察や見解こそが感情機能由来のもので、それを思考が仲介するのではないでしょうか。

だから、通常の思考機能は新しい洞察や見解を仲介し、それらを体系化するときに用いるもの。つまり、先手は感情機能、後手が思考機能なのではないだろうか、というのが私の考えです。

考えるという作業すべてを思考機能に集約してしまうのは、どうやら間違いのようです。感情機能も思考することができるという新事実。思考機能のみで思考する人にとって、感情機能を通した思考は、一種の超能力のように感じられるかもしれません。

natan
natan

本当はそんなことないんですけどね。別の種類の思考であり、それは女性的な思考なんですよね。

感情機能が導くもの

鳥2

感情機能の優れた特性を私たち人類が理解できない理由は、思考機能を絶対視してしまっていること、そして、感情が過去に縛られているために感情が未発達であり、それが機能として働くまでに至っていないこと、さらに、間違った感情の価値の引き下げが背景にあると考えます。

ヒルマンは「感情を狭く主観的な基盤から解き放つことによって、より自由な適応へ向けて機能を発展させることができる」と言います。これをユング心理学では「アニマの解放」と表現するんですね。

私の考えでは、感情機能の自由な適応は、良好な親子関係、人間関係だけでなく、人間とは本来どういった存在なのかという疑問に対して、それを感情機能を通して探っていくことで、結果的にそれは宇宙の秘密へと繋がっていくと考えています。

さらにその秘密が、宇宙と人間の本当の関係性を教えてくれて、そこにきてようやく人類は、宇宙と調和した世界を創出することができるのではないだろうかと考えます。

最後に

感情機能の働きによって、心そのものの解放がはじまります。心の声、そしてそこからの訴えは、自我であるあなたに向けられています。

ユングのタイプ論を通して私たちの現状を考えてみると、人類は未だ、感情がフィーリングレベルで止まっているのだろうなと思います。これを感情”機能”にまで発達させること。そのためには、一人ひとりがマイナスな感情と向き合っていかなければいけません。それは孤独な内的作業になると思いますが、この作業をとおして、感情は過去から解き放たれて、心を拡大させる重要な機能として発展をはじめます。これがアニマの解放、女性性の解放です。

感情機能は、人類にとって非常に有益なものをもたらしてくれることでしょう。私は過去の放送で何度も何度も、感情と向き合うこと、心の声を聞くことが大事だというお話をしてきました。ヒルマンを通して、よりその思いが強固になりました。やはり感情は大切であり、この感情機能こそ新しい世界へと私たちを導いてくれるものだと確信しました。

その新しい世界へ行くためには、勇気、正直さ、そして忍耐が必要になります。みなさん一人ひとりの決意にかかっています。過去の放送では、感情エネルギーの浄化方法や、どうやって心と向き合っていけばいいのか、その方法を私なりの解釈でお話しています。ぜひ参考にしていただければと思います。

というわけで、以上で、シリーズでお話してきたユングのタイプ論を終わります。今後は、このタイプ論も含めた形で、さらに発展させた心のお話をしていけたらいいなと思っています。

natan
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それでは今日はここまでです。
ご視聴いただきまして、ありがとうございました。
また次回もぜひ聴いてくださいね。
それではまたお会いしましょう!バイバイ!

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